キノピオ放送局は大忙し!


注意





キノピオの設定がおかしいです。
キノコ王国の設定がおかしいです。
テレビ局はこんな仕事しないと思います。



ツッコミ所満載ですのでお覚悟を……。
















「ったくよぉ、何でオレが掃除なんかしなきゃいけないんだよ……」
「文句を言うな。仕事に貴賤はないだろう」
そうファルコをなだめるフォックスも、心中で向き不向きはあるだろうにと思っていたりするのだが。
「いや、すみませんね。いつもお願いしてる業者さんが、インフルエンザで休業に追い込まれてしまってて……」
ニコニコ笑いながら、窓ガラスを拭くキノピオZがそう言った。いつもピーチがつれているキノピオとは違い、黄色系を中心としたカラーリングになっている。
「ああ、だから職員がほとんどいないんですか」
「いえ。単に空気が乾燥する季節ですから」
「……」
流石はキノコ王国の住人である。
「……それなのにわざわざ大掃除を恒例行事にしてんのか?」
「何言ってるんですか。大晦日の大掃除は世間様一般でも当たり前じゃないですか。それに春と夏と秋は忙しいんです、冬の放送分まで撮り貯めしないといけませんから」
「……もしかして、冬の番組って全部録画なんですか?」
「ええ。特に外に出る番組は大変ですよ。わざわざ雪山登山しないといけませんから」
「よく抗議とか来ねぇな」
「皆さん事情を知ってらっしゃいますから。よく真夏にあんな冬らしい番組撮れたねって大好評ですよ」
「……」
流石はキノコ王国の住人である。
「……えっと、ニュースとかは……」
「ああ、あれはちゃんとその都度撮ってますよ。赤系のキノピオは乾燥に強いので、冬でもあまり活動に影響出ませんから」
「へえ」
初めて聞く話に、興味深そうにフォックスが耳を動かした。
「じゃあ、他の色のキノピオは気候の変化に弱いんですか?」
「ええ……残念ながら」
キノピオZは悲しそうにため息をついた。
「僕たちキノピオはそんなに強くないんです。せいぜい毒胞子を飛ばして身を守るとか、電撃を発生させて自衛に努めるとか、一瞬で地面に穴を掘って隠れるとかしか出来ないんです……」
「……」
サラリと言ってのけられた事柄の数々に、フォックスとファルコは硬直した。
「……実はすっげえ強いんじゃねえか? こいつら……」
「これで何度もクッパに滅ぼされてるんだから謎だよな……」
まあ、こんな住人ばかりだからキノコ王国は平和なのかもしれない。
「……さて、この部屋はこんなものですね。次はスタジオに行きましょう」
3人はスタジオに移動した。
「スタジオって、そんなに大きくないんだな」
「あなた方にはそう見えるのかもしれませんね」
キノピオの平均身長は、フォックスやファルコの腰程度である。
スタジオの掃除をしていると、パタパタという軽い足音と共にキノピオが1人スタジオに入ってきた。
「局長! 大変です!」
「どうした!?」
「大ニュースです! 緊急ニュースです! 特番組みたいんですがどうしましょう?」
「特番の草案は?」
「ここに!」
そのキノピオが差し出したメモと自分の手帳を見比べ、キノピオZは難しい顔で考え込んだ。
「……もう取材スタッフは向かわせたのか?」
「もちろんです!」
「じゃあ、一時間後の枠で特番をやろう。その枠のドラマとそれ以降の番組は、23時からの番組を抜かして一時間ずらして放送。抜いた番組は明日の22時の枠に。この22時枠の番組はストックに回して」
「はい!」
「じゃあ、制作部にテロップの作成依頼と、番組管理部に今言った放送順変更を伝えて来て。急いでね!」
「はいっ!」
キノピオは慌ててすっ飛んで行った。
「何のニュースだ?」
職業柄、2人共新しい情報には敏感である。ファルコが尋ねると、キノピオZは興奮した面持ちで答えた。
「すごいですよ! 何と、4丁目のピノピノさんの家に三つ子が生まれたんです!」
「……はぁ?」
2人の目が点になった。
「双子だって珍しいのに、三つ子だなんて滅多にない事態ですよ! これはもう特番モノですよね!」
熱く語るキノピオZとは対照的に、2人はげんなりとした表情になった。
「……どこが緊急ニュースだよ……」
「……ええと、参考までに聞きたいんですけど。いつもはどんなニュースを流してるんですか?」
「いつものニュースですか? う〜ん、ノコキチさんの家の庭にスズランが咲いたとか、リットン族のゴーグルに最新モデルが出たとか、今日は天気雨ですねとか……」
「……もういいです……」
平和ボケもここまでくるといっそ素晴らしい。
「ちょっと聞きたいんだが、クッパが攻めてきたらニュースにはしないのか?」
「しませんよ。どうせそのうちマリオさんがどうにかしてくれますし、第一私たちが報道する必要はありませんよ。クッパが自分で大々的に宣言しますから」
あっさり言ってのける。自国の滅亡は、三つ子の誕生や天気雨より話題性が低いらしい。
「……オレこの国で暮らせねえな」
「どうしてですか? こんなにいい所なのに……」
キノピオZが首をかしげたが、ファルコにはもう答える気力はなかった。



フォックスとファルコが掃除に慣れていないためかなり手間取ったが、それでも何とか夜までには全てのフロアの掃除を終わらせることができた。
ちなみに、例の特番は大成功だったらしく、視聴率が30%を超えたと職員が話しているのを耳にはさんだ。2人には何故三つ子の特番がそんなに視聴率を取れるのか全く理解出来なかったが、賢明にもそれを口には出さなかった。
「ご苦労様です」
放送局の前まで2人を見送って、キノピオZはぺこりと頭を下げた。
「これから打ち上げをするのですが、もし良ければ参加しませんか?」
「いえ、こちらも早めに終わらせて帰れと言われていますので」
「そうですか。……今日は本当にありがとうございました」
再び頭を下げたキノピオZに手を振って、2人は屋敷への帰路を急いだ。



――よいお年を。





後書き



キノピオZさんのご依頼「キノピオ放送局の掃除」です。
……掃除……あんまりしてないな……(汗)
しかも怪しい設定が……。
すみません、遅くなった上にこんな趣味満載なので……。
依頼に添えたかは疑問ですが、どうぞ〜。オマケもつけますんで、ね(汗)

ちなみに、リットンというのはスーパーマリオワールドに出てくるゴーグルつけたイルカのこと。
仲間なので当たってもミスにはならず、水上ステージでは足場となりますがはっきり言って役立たず(ぉぃ
ヨッシーのエサにされる可哀想なヤツらです。





オマケ



「ピーチ姫、何故フォックスさんとファルコさんをこの依頼に? 掃除でしたら、リンクやポポやナナの方が……」
「う〜ん、まあゼルダの言うとおりなんだけど。依頼が大晦日だったから」
「?」
「大晦日の大掃除は、普段掃除をしない人に掃除をさせるべきよ。私達も今日はこうして図書室の掃除をしているでしょう」
「リンクはさっき台所で何か作業をしていましたけど……」
「本人がやるって言ってるんだから仕方ないわ。止める理由もないし」
「まあ、確かにリンクは大人しくしていられない性分ですからね」
「さ、ここの掃除もこれでおしまいっと。ねえゼルダ、今回の年越しそばはなかなかの出来なのよ」
「まあ、それは楽しみです。では下に下りましょう。そろそろフォックスさん達も帰ってくるでしょうし……」

「……ゼルダには言わない方がいいのかしらね。今回そばを打ったのがガノンだってこと。……ま、美味しけりゃいいか」





end♪