何でもない日
「はい、こちらスマブラ屋敷」
フォックスは電話を取った。
「………はい。…5時ですね。ええ、大丈夫です。……………はい、お待ちしています。では」
電話を切ると、フォックスは隣の内線電話を取り上げる。
「…ピーチ姫?今日の5時に客が来ます。…大口の依頼のようです。…………では」
連絡を終え、フォックスはふぅと息を吐いた。
最初は気づいた人がとる事になっていた電話だが、今ではフォックスが電話と急な客の応対を任されている。一度その理由を訊いてみたら、
「フォックスって、このメンバーの中ではマトモな方でしょ? それに、フォックスの電話は聞きやすいし」
という答えが返ってきた。まあ、大した仕事でもないし、反対ゼロでフォックスは応対係をやっていた。
「フォックスさん、お疲れ様です」
と、リンクが紅茶とケーキを持ってきてくれた。
「大したことはしてないよ。リンクの方こそ大変だろう?」
そう、電話も客も来ない日は来ないし、来る日だってそんなに沢山は来ない。だから普段は昼寝をしたり、図書室から持ち出した本を読んだり、同じく暇な連中と喋ったりしている。家事のほぼ全てを1人でこなすリンクとは、忙しさのレベルが違う。
「そうでもないですよ。これはこれで楽しいですし」
エプロン姿も板についた勇者様は、そう言って微笑む。これでメンバー1、2を争う実力の持ち主なのだから侮れない。
「……人間が出来てるなぁ」
「そうですか?」
リンクは首を傾げる。
「じゃあ、お仕事頑張って下さいね」
「ありがとう。リンクもな」
リンクはトレイを抱えて台所に戻っていった。
リンクが持ってきてくれた紅茶とケーキを味わいながら、読みさしの本を開く。
開かれた窓からは爽やかな初夏の風が吹き込んで来て、綺麗な緑色の若葉が風になびくのが見える。
グレートフォックスの艦内では、決して感じる事の出来ないのどかさだ。玄関に近い位置にいるため、爆音が聞こえないのもいい。
戦うために集まった場所で平和を謳歌するというのも妙な話だが、フォックスはこんな何でもない日が好きだった。
「……そろそろ5時だな」
フォックスは空になった食器を持って立ち上がった。
リンクに、これから来る客のお茶を頼んでおかないと。
後書き
アンケートより、フォックスのほのぼの日常です。
……内容なくてごめんなさい。
たまにはこういうのんびりした話もいいですね。
私ものんびりしたい……。